平屋建てプランは難しい?2階建てにない平屋建ての良さ。

インターネット上には多くの住宅のプランが紹介されています。平屋建てのプランも多くあります。
プラン(間取り)を作成するときに、てっとり早いのが、すでにあるプランを参考にすることです。
全く0からはじめるのもいいですが、気に入ったプランを、自分なりに修正していくやり方が取り組みやすいと思います。
◎動線を考える
平屋建ての間取りは、階段がないので楽そうに思えますが、案外と難しいものです。
すべての部屋をワンフロアに配置することで、部屋と部屋との人の動き(動線)が気になります。
プライベートを考えるとホールや廊下の面積が多くなってしまうし、廊下を少なくすると、家具などの配置が難しくなります。
LRを動線の要にして、寝室や和室、子ども室などを周囲に配置する間取りはよく見られます。理由は、コンパクトでスペースが少なくてすむという利点があると考えます。
回廊式の動線は、スペースを多く必要としますが、使い勝手はなかなかいいです。
平屋建ては2階建てに比べて全体の面積を小さくできます。
階段や2階部分の廊下は必要なくなります。
さらに、2階建てだとトイレを配置することもありますが、平屋建てにすると省くことも考えられます。
ただ、平屋建てでプライベートを優先すると、廊下を多く必要としたりします。
平屋建てでは、居間を共有部分として、そこから各部屋に出入りできる動線にする間取りが多く見られます。
玄関ホールから客間や寝室に出入りする間取りもあります。
以前は、応接室や和室を客間として独立させていましたが、最近は居間を応接室と共用するケースも多くなりました。
家事の動線も間取りを考える際の大事な要素です。 洗濯や台所での家事の動線は、毎日のことですからできるだけ短くしたいものです。
高齢になってくると寝室からトイレの動線も考慮する必要があります。
場合によっては、寝室用のトイレを設置しておくこともいいのかもしれません。
プライベートを考えると、動線を短くすることは相反することが多いですが、みんなの動きがわかる居間を中心にした生活が家族の絆も強くなるような気がします。
◎快適さを求めて
・快適な平屋の住まい
快適性を求めるなら、木造住宅が一番と思います。
いろいろ考え方はあるでしょうが、日本の古来の住宅は木造です。木造の建物が住むのに一番適していたのだと思います。
しかも、平屋建てがほとんどでした。ですから、湿気を防いで、風通しを良くするために床を高くしていました。
現代では、鉄筋コンクリート造や鉄骨構造など、木造よりも強度的に有利な構造もあります。しかしながら、木造住宅が一番好まれている大きな要素は快適性です。
木は二酸化炭素を吸収し、炭素として固定し続け、成長とともに炭素固定量は増えていきます。
木が伐採され木材や木製品になっても固定されたままです。炭素の固定量は木材の重さの半分であることがわかっています。
世界で大きな問題になっている、地球温暖化。
木造の住宅は、1平方メートル当たり、0.2立方メートルの木材を使用します。
40坪の家では、約8立方メートルの木材を使用することになります。
木材を多く使用することは、地球温暖化抑制の一翼を担っているのです。
木造の住宅の良さは、木そのものの性質にもあります。
どういうことかといいますと、木は鉄やコンクリートに比べて熱を伝えにくい性質があります。
専門的に熱伝導率といいますが、鉄やコンクリートより外気を室内に入れにくいということです。
住宅は、外壁や屋根裏など断熱工事を施します。
木造の建物は、同じ内容の断熱工事を施した鉄骨、コンクリートの建物よりも外気が伝わりにくいのです。
しかも、吸湿性にも富んでいますから、室内の湿気など一時的に取り込んで快適性を保ってくれます。
木造の平屋建て住宅は、日本の気候に最も適した建物と言えるでしょう。
◎コストを考える
・注文住宅のコスト
建物の構造や耐久性などとても大事なポイントですが、平屋建ての建物は、基礎工事と屋根工事の比率が極端に上がってきます。
建物の価格は、木材や建材、サッシ、住宅設備などの材料費①とそれらを加工したり、組み立てて取り付ける人件費②と、工事を円滑に進めていくための管理費、交通費、電話代などの諸経費③で構成されます。
工務店と大手住宅メーカーとはそれらの割合がかなり違います。工務店の場合、40:40:20の割合でしょうか?
大手住宅メーカーになると、35:35:30程度になります。経費の割合が大きくなるのは、広告費やメンテナンスの充実がその理由です。
大手住宅メーカーは、「坪単価は高いけどアフターメンテナンスがしっかりしているから安心」と思っておられる方は多いはずです。
材料を安くすればコストは下がります。既製品を使えば人件費が下がることもあります。諸経費は、それらが下がればおのずと下がってきます。
予算オーバーでコストダウンをしないといけなくなることはよくあることです。こだわりはあるかもしれませんが、譲れるところは譲っていかないとなかなか下がりません。
平屋建ての場合、屋根の材料費を抑えることができれば、面積も大きいのでコストは下がってきます。
予算が追い付かない場合には、住宅設備機器をグレードダウンしたり、水回りの配置を集中させたりなどの方法を考えてみたらいかがでしょうか?
平面的な凸凹を少なくしたり、間仕切り壁を少なくしたりなどして、間取りでコストダウンできることはたくさんあります。
平屋建てにしたいけど、2階建てに比べて平屋建ては高くかかると思っておられたら、2階建てで作ったプランを平屋建てに置き換えてみてください。
階段や廊下部分の面積が少なくなると思います。
見積もりをすると、最初のプランより金額が少なくなるはずです。
同じ部屋数、部屋の広さであれば、坪単価的には高く付いても、平屋建ての方が総額で安くなるのです。
◎平屋ならではのプラン
平屋建てならではのプランがあります。
平屋建ては風や地震の力を受けにくい利点があります。そういった利点を生かしたプランがあります。
・軒を出す
最近のハウスメーカーが、エコと絡めた提案をしています。軒を思い切って出すことで、夏場は直射日光を抑え、冬は低い角度から日差しを受け入れることで、一年中快適に過ごすことができます。
・床下や小屋裏の利用
平屋の建物は、床下や小屋裏(天井裏)が比較的広くとれます。
しかし、床下には束、小屋裏には小屋束が建っており、邪魔になります。
工事に入る前、もっと言えばプランをつくる際にスペースを計画しておけば、補強やコスト面で後々無理をしないでしょう。
和室がある場合、畳を移動して床下に侵入する方法は昔から採用されています。
頻繁に使用しないもので、湿気を嫌うものを収納するのにいいでしょう。
こういうスペースは作っておけば、役に立ちます。