見逃しがちな建築中の盲点。二世帯住宅だと更に!

◎増改築は水回りの使用不能期間を確認
増改築という方法での二世帯住宅の最大のメリットは、引っ越しの手間と仮住まいのコストが省けることです。
しかし、住み続けながら工事を進められる代わりに、工事の進み具合によって、使用不能になる場所が順番に出てくることに注意しなくてはなりません。
特に、生活に直結する深刻な部分が、トイレ、洗面、キッチン、浴室などの水周りです。
工事の規模や複雑さによっては数日から数週間使用できなくなる場合もあるので、その期間をあらかじめ確認しておく必要があります。
水周りは、住まいの中にまとめて敷設されているため、工事の際にもまとめて使用できなくなることがあります。
そこで、洗濯はコインランドリーを利用し、風呂は銭湯などを利用するようになります。
特に、風呂や洗濯を休むことができない夏場など、工事をする季節も考慮した方がよいでしょう。
トイレが使用不能になる期間は、近所のお宅で借りられるようにお願いするなどし、なるべく早急に工事が終わるように工事担当者に段取りを上手に組んでもらうことが大事です。
若い子世代は、キッチンが使えない期間に外食やコンビニ弁当などを利用することにあまり抵抗がないでしょう。
しかし、親世代は炊事ができないと食生活に不安を感じるかもしれないので、この期間もできるだけ短くなるように調整してもらった方がよいでしょう。
◎新築の建築期間はどう過ごす
新築を考えている人が意外と忘れがちなことが、もともと建っていた親の住まいを取り壊して、新しい家ができ上がるまでの間の賃貸生活についてです。
新築住宅の建築期間は、構造や工法によって異なりますが、1ヶ月前後から1年程度です。
この期間は仮住まいのための空間を確保する必要があり、賃貸のための家賃の出費や、もとの家から賃貸へ、賃貸から新居へと合計2回の引っ越しも必要となります。
仮住まいの際には、家財を補完するために別の家やトランクルームなどを借りる必要も出てくる場合もあります。
そのコストも数カ月分になるとたいへん高額になります。
そこで、家財が今後も本当に必要なものかどうかの選別をこの機会に行うことも、その後の生活を快適にする上で有効なことです。
二世帯住宅には二世帯分の荷物を収納することになるため、どんなに大きな家であっても収納の少なさが問題になりがちです。
さらに、モノの収納や整理の問題で親世帯と子世帯の関係が悪化することも考えられます。
10年も着ていない服や読まない百科事典のために数十万円の賃貸料をかけるべきかどうかは検討課題ですし、親世帯においては、後生大事に運んだものも、自分たちの死後に勝手に処分されてしまいます。
2度の引っ越しの手間をチャンスととらえ、自分のものを自分の手で整理しましょう。
◎細かな点をチェック
住まい作りにかかわるチェック項目の数はたいへん多く、特に二世帯住宅の場合は、通常の核家族用の住まいに比べて倍近くもあります。
そこで、素人が把握することは困難なので、プロに任せることが基本です。
しかし、建て主である自分自身も、大事な部分は把握・チェックするように心がけたいものです。
図面はなれないとどう見てよいかわからないものです。
しかし、住まいを上から見た地図だと思い、その地図を歩くように何度も想像してみることも大事です。
たとえば、親世代が2階へ移動する必要があるなら、踊り場のしっかりある安全な階段を設置したいものです。
手すりの高さや始まりの位置、つなぎ方なども図面の数値を読み、実際に高さを確認することが必要です。
コンセントやスイッチの位置や数なども、その部屋の家具の配置などによって決定するべきです。
電話のモジュラージャックやテレビのアンテナ端子、家庭内LANなどの配線口の位置や数も、実際に家具を置いて使用することを前提に計画しましょう。
どのように使うかまでは設計担当者もわからないので、建て主がきちんとチェックする必要があるのです。
◎よし建てるなら今年やっちゃおう
住宅展示場では、「できるだけ早めに二世帯住宅を建てた方がよいでしょう」とアドバイスされます。
これは、急いで建てる方がメーカーにとってはありがたいか」からです。
しかし、もう一つ、お客様の立場でのメリットがちゃんとあるのです。
親のリタイア前なら早いほうがローンを組む際に有利ですし、子の賃貸支出を抑えることができます。
孫が環境の変化に対応するのにも早い方が負担は少なく、転校のタイミングも計れます。
親が若ければ孫の面倒も気楽に頼めます。
親にとっても早い方が将来的にも安心ですし、孫と触れ合える楽しみもあります。
そして、アプローチしてくる会社は、契約をめがけて一斉に攻撃を仕掛けてきます。
しかし、親世代子世代ともに混乱してしまってはよくありません。
そこで、契約候補は2社くらいに絞り込んでおきたいものです。
そのためには、工法や工期の長短、間取りや仕様に対する自由度や柔軟性、打ち合わせ時の担当者の態度などを総合的に判断することが重要です。
そして、お金の問題も重要です。
その際にあまり重視しないほうがよいのが値引きという態度です。
値引きは、差し引いてもらった金額以上に、相手にマイナス感情というデメリットを生じさせることになることもあるのです。
◎親子リレー返済でバトンタッチ
親子リレー返済は住宅金融支援機構の融資制度のうちの一つです。
財形住宅融資や民間の銀行ローンなどにも同様の親子リレーローンという制度があり、承継償還制度という呼び方もされます。
親子リレー返済では、融資の申込者である親が、本人の子であることや将来同居予定であることなどの一定の条件に合致する後継者を連帯債務者に指定して返済を継続します。
親世代は、二世帯住宅建設時に長期のローンを組むことの年齢制限にかかりやすく、また、子世代は、収入が少ないために融資金額が制限されることが多い傾向にあります。
そこで、親世代・子世代の抱えるデメリットを相殺する役割を果たすのが、親子二代にローンを渡らせるこの制度です。
親子リレー返済は、親子でローン返済を継続していく方式ですが、親子が各々同時に二口のローンを組み、並行して返済する親子ペアローンという方式もあります。