世代が変われば生活も変わる!侵害しない二世帯住宅のエチケット。

◎起きる時刻、寝る時刻
毎日の暮らしは、朝、起床するところから始まります。
しかし、職場まで徒歩5分なので8時まで眠れる家庭もあれば、5時起床で2時間かけて出勤しなくてはならない家庭もあります。
その始まりの時刻は家庭によってまちまちなのです。
これは、二世帯住宅に住む親子でも同様です。
残業などで帰宅時間の遅い若い世代と、リタイアずみで早寝早起きの親世代。
起床も就寝も、どちらかの習慣をどちらかが無理やり合せることは難しいことです。
そこで生活パターンの違いがお互いの生活に悪影響を及ぼさない努力が必要です。
完全共有型の二世帯住宅に同居していても、毎日一緒に食卓を囲んで食事を共にすることは意外と難しいことです。
仕事によっては土日が休みとは限りませんし、定時に家に帰ることも難しいことです。
孫も成長するにつれ、友達づきあいや習い事、部活などで多忙になったりします。
親子双方、休日の過ごし方も違います。
それぞれの習慣は異なることを理解していたほうが、たまの交流が貴重で楽しいものになるのではないでしょうか。
◎気配になるか騒音になるか
二世帯住宅でも、一般の集合住宅でも、つねに何かしらの生活音に囲まれています。
そして、生活音というものは気にし始めるとキリがありません。
よくいわれるのが、その音の感じ方は、音を出している人をよく知っているか知らないか、その人に好意を抱いているかそうでないかによって相当変わってくるということです。
二世帯住宅で一番うるさい部類の音は、幼い孫が家の中を走り回る音でしょう。
しかし、親世代はこれを元気な証拠と受け止め、それほど気にしない傾向があります。
やはり、顔が見えて好意を抱いている証拠でしょう。
しかし、これが夜遅い時間であれば話は別です。
たとえ、身内であっても、夜になったら走らない、騒がないといった最低限のマナーは守る必要があります。
特に、老齢期に入った親世代にとっては、睡眠の妨げは健康にも悪影響を及ぼしかねません。
建築家や住宅メーカーには、住まいの騒音対策を講じる設計上の様々なノウハウやテクニックがあります。
二世帯住宅を新築・増改築する際に、設計段階で対応することも有効な手段です。
二世帯住宅では、親世帯の寝室の真上に、子世帯のリビングや孫の子供部屋をもってこないのが基本ですが、その他、子世代のスペースを1階にもってきたり、テラスハウスのような縦割り設計にするなどの工夫を講じるのも一案です。
◎異なる食生活
和食、洋食、中国料理、韓国料理。
日本人ほど他国の食文化に柔軟な民族はいないといわれています。
外国料理だけでなく、日本各地にある郷土料理も含め、家庭の食卓、外食、学校給食に至るまで、料理のバリエーションには際限がありません。
子どもにとっても大人にとっても、これだけのバリエーションがあれば好き嫌いをしないで何でも食べることは難儀な時代かもしれません。
しかし、様々な食文化を受け入れているわりには、我が家のキッチンや食卓では、微細な個人の好みや我が家流がまかり通っているものです。
家庭ごとの嗜好は案外独特なものなのです。
さらには、キッチンに立つ人によって料理の仕方や調理器具の使い方の癖なども、それぞれ異なるものです。
これが嫁と姑になればさらに異なって当然です。
一家に主婦は二人いらないといいますが、二世帯住宅ではキッチンは2か所以上あるほうが無難といえるでしょう。
特に、完全共有型の場合、親世代か子世代のどちらか片方の主婦に炊事の担当が偏る傾向があります。
そこで、どちらかが早々にこの炊事の担当の役割を手放してしまえば、食の嗜好やキッチンの使用法などの違いはあまりシリアスな問題にはならずにすみます。
食の嗜好の違いは大問題ではありますが、ある程度の互いの譲歩や自分以外のやり方への柔軟な受容があれば、異なるバックグラウンドと嗜好をもつ者同士で味を分かち合っていく愉しみもあります。
◎配偶者の身内や友達を招くとき
二世帯住宅に住むようになると、子の配偶者の親が、そこが子どもの家ではなく、子どもの配偶者とその親の家になってしまったと感じ、訪れにくくなったという話をよく聞きます。
しかし、これは子の配偶者にとっても、その親にとっても不幸なことです。
玄関が別々になっている完全分離型の二世帯住宅でない限り、親のみならず、兄弟や友人を家に招く際にも気を遣ってしまいます。
共有のリビングやキッチンにいれば、チェックする気がなくても親の目にも入ってきてしまい、何かと気になるものです。
互いに自分の客は自分で接待し、特に用がなければ顔を出さないとか、出してもあいさつ程度にするなどのルールを事前に決めておく方がお互いに気楽かも知れません。
さらに、共有の玄関を使用している場合に心配なのが、招かざる客です。
子の不在時に、勧誘や営業などで子の家族目当てで来る招かざる客を、親世代が客と勘違いして手厚く接待してしまうなどのケースです。
完全分離型であれば、自分の客だけになるので区別がつきますが、それ以外の場合は注意が必要です。
招かざる客の中でも最も警戒しなければならないのが悪質な業者です。
そして、招かざる客の種類は増加しており、一見役所の人のように見えるなど、特に高齢化した親には区別がつけられません。
また、自分目当ての客とわかれば断ることができるのに、子の知り合いかと思うと、礼儀として手厚く接待していまい、その結果、つけこまれる要因になってしまいます。
このようなトラブルを避けるためには、日頃からある程度、それぞれの人間関係をオープンにしておく必要もあり、その度合いとプライバシーとの兼ね合いが課題ともいえます。
◎電話は2回線ひこう
携帯電話が普及している現在でも、家庭の電話はまだまだ活用されています。
ファックスを利用することが多い家庭はもちろん、親の世代では携帯電話ではなく家電話だけを使っている場合のほうが実際には多いのではないでしょうか。
電話回線は、親世帯と子世帯の精神的な自立のためのライン、つまり、けじめの象徴でもあります。
そこで、できる限り2回線を引き、気兼ねなく外の友達や家族とつながりがもてるようにすることが、二世帯住宅の暮らしを煮詰まらせないためにもとても大切なことなのです。
◎新築のニオイにご用心
シックハウス症候群は、建材や建具、家具などから揮発した化学物質により引き起こされます。
そして、化学物質によって汚染された住まいは、独特のツーンとしたニオイがすることが多いのです。
いわゆる、新築独特のニオイです。
そのニオイによってクシャミや頭痛が起こった経験のある人もいるかもしれませんが、それが一時的な症状ではすまなくなってしまったときにシックハウス症候群として顕在化します。
症状の出方には個人差があり、同じ家に住んでいても症状が出ない人もいます。
それが、シックハウス症候群の問題をややこしくしている原因でもあります。
そして、その症状も様々であるため、他の病気と認識されがちです。
平成15年7月1日施行の改正建築基準法により、現在はシックハウス対策にかかわる規制が適用されています。
主だった化学物質を使用した建材は規制され、換気設備の設置が義務づけられました。
しかし、化学物質は建材だけではなく、カーテンなどの布地や洗剤、防虫剤や芳香剤などからも漂い出しています。
また、化学物質にさらされ続けることで微量の化学物質にも反応し、日常生活すら送りにくくなる化学物質過敏症へと悪化する恐れがあります。
また、シックハウス症候群は、家にいる時間が長い人ほど発症しやすい病気です。
新しい家に移ったら、こまめに換気を行うことが必要です。
24時間換気システムを導入するなど、シックハウス症候群を念頭に置いた住まい作りが今の時代には必要なのです。