二世帯住宅だからこその疑問。これでスッキリ解決!

Q1 同居と二世帯住宅の違いはなんですか?
A1 同じ屋根の下で、親と子のそれぞれの世帯が暮らすのが「二世帯住宅」です。一軒の家の中で、寝室以外のリビングやキッチン、トイレなどを全員で共有するいわゆる「同居」も、広義には「二世帯住宅」といえます。
しかし、一般的には、寝室以外のキッチンや玄関、浴室などの場所の一部や全部について、親世帯と子世帯が別々に利用する設備や空間がある住まいを「二世帯住宅」と呼んでいます。
Q2 二世帯住宅の建築費は安いのですか?
A2 全く同じ仕様の家を二軒建築することと比較すれば、建築費は安く済みます。二世帯住宅では、構造体や一部の設備は1つでよい場合が少なくないからです。
たとえば、キッチンや浴室、トイレなどの水回り設備をすべて共有すれば、建築費はかなり減らせます。一部の配管なども共用するので、この場合、2割程度減るのではないか、と考えられます。
しかし、親子とはいえ、二世帯住宅とは別の世帯同士が同じ屋根の下で暮らすことです。お互いが半同居のような形になるため、今後の生活スタイルをどうするかについて今一度、よく話し合いましょう。
Q3 三世帯(多世帯)住宅は建てられますか?
A3 三世帯(多世帯)住宅とは、夫と妻の両親の世帯や兄弟姉妹を加えた複数世帯、あるいは親・子・孫夫婦といった三世代にわたる世帯が一緒に暮らす住まい方です。
1つの住宅に多くの世帯が暮らせば、ばらばらに家を建てるより、住宅建設にかかる総費用は少なく済みます。この場合、建物を大きくする必要があります。ですから、広い土地が準備できたり、狭い土地であっても法定容積率※1 が高かったりすれば、建てることは可能です。
※1:容積率
容積率とは、敷地面積に対する建築の延べ床面積(各階の床面積を合計した面積)の割合のことです。敷地面積200平方メートルで容積率が100%であれば、建築可能な延べ床面積は200平方メートル×100%=200平方メートル。
法定容積率とは、敷地に定められた容積率の上限のことです。
Q4 何坪の土地を用意できれば、二世帯住宅が建てられますか?
A4 家族の人数や室内でどの設備を共用するかによって異なるので、一概にはいえません。また、土地について定められている法定容積率や法定建ぺい率※1 によっても、建てられる床面積が異なります。土地の広さよりむしろ、欲しい生活スペースから考えましょう。こうすれば、必要な土地の大きさが決まってきます。
たとえば、家族の人数を子世帯4人、親世帯2人とします。それぞれが全く独立して暮らしたいのであれば、子世帯は4LDKで約90平方メートル、親世帯は2LDKで約60平方メートル必要でしょう。合計で約150平方メートルです。水回りや玄関など、一部を共用するのであれば、床面積はもう少し減るでしょう。
そして、この広さの住宅を建てられるような、容積率と建ぺい率の制限をクリアした土地であることが条件です。
なお、土地が狭くても、高い容積率であれば、建物を高層にして二世帯住宅を建てられます。1フロアに部屋が1つしかなくても、上下で2つ、3つの部屋を利用できれば、機能的に十分な住まいになります。
しかし、親世帯は、これから年齢を重ねていきます。ちょっとした高低差の階段でも、上がり下りして暮らすのはとても大変です。できるだけ1フロアで生活できるようにしたいものです。どうしても複数フロアになってしまう場合、ホームエレベーターを設置するなどの工夫をしましょう。
※1:建ぺい率
建ぺい率とは、敷地面積に対する建築面積の割合(ほぼ1階部分の床面積)のことです。敷地面積200平方メートルで建ぺい率が60%であれば、建築可能な建築面積は200平方メートル×60%=120平方メートル。
法定建ぺい率とは、敷地に定められた建ぺい率の上限のことです。
Q5 親に建設資金を全額負担してもらうのですが、問題ないですか?
A5 親の所有する土地に二世帯住宅を親の資金で建て、親の名義で登記した住宅に居住する場合は、同居と同じように考えられます。子世帯が精神的な負担を感じなければよいだけなので、問題にはなりません。
これとは別に、親が資金を全額負担したのに、一部分でも住宅を子の名前で登記をする場合には、注意が必要です。住宅の建設資金が親から子への贈与と見られ、贈与税が発生してしまいます。建設資金を負担した人の名義で登記するようにしましょう。
Q6 光熱費などはどのように分担するのがよいですか?
A6 水道代や電気代、ガス代といった光熱費は、あらかじめそれぞれの世帯で支払うようにしたほうがよいのではないでしょうか。早いうちから金銭の負担分を決めておくことが、トラブルの回避につながります。
設備を共用しない完全に分離した二世帯住宅では、それぞれの世帯でメーターをつけられます。また、キッチンだけを分離するような一部を共用する二世帯住宅でも、子メーターを設置すれば、世帯ごとの負担分が明確になります。
光熱費に加え、電話代も別にしたほうがよいでしょう。電話回線は二本ひくようにします。
Q7 二世帯住宅にしても、上手に距離を隔てて生活できますか?
A7 居住空間や設備を別にするとしても、「かなりの近距離」で暮らすのが二世帯住宅です。お互いの気遣いは欠かせません。
上手に程よい距離を保って暮らしていくには、最初の段階での話し合いが大切です。
たとえば、キッチンは別にしたい、室内でお互いの家を行き来したい。それぞれ世帯で、生活に対する要望はあるでしょう。まず、その要望を世帯ごとに書き出してみます。
生活を一部でも一緒にしたいのであれば、料理や洗濯は誰がするのか、お風呂は一つでいいのかなど、ルールも決めていきます。
そして、世帯ごとに実現したいものに優先順位をつけます。その後、設計者を交えて親子間で話し合いましょう。ここで注意したいのは、お互いに気になること、避けたいことも躊躇しないで提案することです。
たとえば、「音」に神経質な人がいれば、「音が気になる」ことを伝えましょう。2階にある子世帯のリビングの下が、親世帯の寝室になってしまうと、音が気になる可能性が高くなるからです。設計の工夫で、心配ごとが解消できる点は多くあります。
遠慮したままで住まいが完成し「あとからこんなはずではなかった」と思っても遅いのです。こうならないために、世帯が別々に設計者と話し合う機会をもちます。もう一方の世帯がいないなら、要望は遠慮なく伝えられます。そして、設計者から「上手に暮らす」アイデアとして、もう一方の世帯に伝えてもらうようにすれば、角が立ちません。
Q8 将来、単身世帯になったらどうしたらいいですか?
A8 二世帯で暮らしていた家族が、いろいろな理由で単身世帯になる可能性もあります。そのまま暮らし続ける以外の方法を示しました。
1.売却
新たな場所や住まいを求めて、二世帯住宅を売却
2.一世帯あるいは二世帯を賃貸
空いた住戸、あるいは両方の住戸を賃貸にする方法。ただし、この方法は、完全分離型の設計でなければ、賃借人を見つけるのは難しいかもしれません
3.別の家族と二世帯で暮らす
兄弟や姉妹、これまで同居していなかった親と一緒に暮らす方法
賃貸にしたり、別の家族と住んだりするならば、リフォームも必要になるでしょう。